538年
(一説552年)仏教伝来とともにお香が伝えられたとする
595年
淡路島に香木・沈香が漂着する。聖徳太子が判定したと『日本書記』に記載
754年
鑑真和上渡来 この頃「香薬」原料輸入される
894年
遣唐使廃止で国風文化開花。901~956年頃薫物作りが盛んになる
1008年頃
『源氏物語』完成。梅が枝巻で薫物合せが行われる
1334年
二条河原の落書に「茶香十炷の寄合」が都ではやっていると書かれる
1336年
『太平記』婆娑羅大名佐々木道誉が大原野花見の折、沈香一斤を焚く
1479年頃
『五月雨日記』足利義政が香合せを行う
三條西実隆、志野宗信が香木を分類する。香道のはじまりとされる
1490年
『蔭涼軒目録』南方から琉球国を中継として沈香が輸入されるようになる。九州(博多、長崎、薩摩)は香木輸入において重要な役割を果たしていた。
1500年頃
『七十一番職人歌合』に市中の薫物売りが描かれる
1573年
織田信長が正倉院の香木「蘭奢待」截香。香木が天下統一の証となる
1596~1680年頃
後水尾天皇薫物を下賜する。香木にも命銘する
1613年
「香合覚書」(徳川家康自筆の薫物調合覚書)徳川家康がベトナム、カンボジア、タイに良質の伽羅を求める書状を送る
1636年
鎖国以降長崎に伽羅目利を置き特別な香木伽羅を選別していた。九州はこの頃香木が入手出来る唯一の窓口であった 森鴎外『興津弥五右衛門の遺書』(寛永1164~1644年頃の逸話を取材)一木三銘(後に四銘)長崎に輸入された伽羅木をめぐって細川家と伊達家の入手争いがあった。
1669年
『香道秘伝書』米川常伯によって著される。東福門院も香と深い関係がある。この頃香道が整う。香木分類(六國五味)され、組香が作られる
1720年
『長崎夜話草』西川如見著に五島一官が中国福州よりお線香の製造方法を長崎に伝えて作りはじめた説あり
1868年
神仏分離令。廃仏毀釈により伝統的香文化の危機となる
欧州からは香水が輸入され香水香(火をつけて楽しむお香)が開発される
日本文化が見直され茶道、華道と共に香道が盛んとなり、生活の中でもお香を楽しむひとが増え様々な製品が開発される
沈香
ジンチョウゲ科の木に傷等がついて樹脂化したもの。ベトナム産等東南アジアが産地。水に沈む良質なものを沈香と称した。漢方薬の上品
白檀
ビャクダン科の心材が豊饒で甘い香りがする。インド産が有名。美術工芸品にも使用される。インドでは貴重な薬。抗菌作用が強い
丁子
フトモモ科丁香樹の蕾を乾燥させたもの。ザンジバル産が有名。クローブのこと。スパイスとして重用される。麻酔収斂作用がある。鬢付け油にも使われていた
桂皮
クスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させたもの。ベトナム、中国南部産他。漢方薬としても非常に重要。お菓子やスパイスにも使われていて馴染み深い香原料
大茴香
モクレン科の常緑樹の実を乾燥させたもの。スターアニス、八角とも呼ばれている。爽やか甘味があり、中華料理やお酒の香り付けに使われる。杏仁豆腐の香り
龍脳
龍脳樹の樹木全体に含まれる成分の結晶化したもの。清涼感のある香りは墨づくりにも使用される。インドでは頭痛薬等万能薬としても尊ばれていた。古来楊貴妃が好んだ香りとされた貴重な香料でもあった。防虫効果もあると言われていて昔から箪笥香として使用されている。
藿香
シソ科の全草を乾燥させたもの。インドネシア産他。パチョリのこと。香水や石鹸等の香料として使用されるウッディノートの香りとして多用されている
山奈
ショウガ科バンウコンの根茎を乾燥させたもの。中国南部産他。芳香性健胃生薬や中華料理のソースにも使用される。匂い袋等にも使用される
甘松
オミナエシ科の根茎を乾燥させたもの。四川省産他。ナルドの香油として聖書にも登場する。平安時代の薫物の原料としても重要。癖になる匂いで変調剤になる。
霊陵香
サクラソウ科モロコシソウの全草を乾燥したもの。中国南部産他。強烈な香りを発し中国では医薬品としても使用される。
甲香
巻貝の蓋を加工したもの。ザンジバル産他。保留材として主に使用される
安息香
エゴノキ科の樹脂。ラオス産、インドネシア産他。甘い香りで保留材としても使用される
椨粉
ジンチョウゲ科の木に傷等がついて樹脂化したもの。ベトナム産等東南アジアが産地。水に沈む良質なものを沈香と称した。漢方薬の上品
杉粉
ビャクダン科の心材が豊饒で甘い香りがする。インド産が有名。美術工芸品にも使用される。インドでは貴重な薬。抗菌作用が強い
香木
沈香、伽羅、白檀、その他香りの良い木。香道の聞香用として小片そのものを間接加熱で香りを楽しむ。他に茶道で風炉の時期に割香として用いられる。寺院では香木を削って焚かれている
焼香
香木、様々な香原料を粉末状、刻み状、削り状にして単品及び調合されたもの。神仏の供養、場の浄めの等世界各地で古くから焚かれる為に使われた
抹香
粉末状のお香。神仏供養、浄め以外に木枠型に沿って粉末を盛り、火を付けて時計代わりとして用いられた
塗香
抹香より細かな粉末状のお香。宗教的には供養以外に身や服、壇を浄める為に使用された。他国では身だしなみや香水替わりの香粧品としても使われる。液状、クリーム状のものもある
練香(薫物)
合香、和香とも。数種類の粉状の香原料を調合し、梅肉、蜜、甘葛、酒等で搗き固めて丸薬状にしたお香。日本には奈良時代には伝えられ平安時代に盛んとなって源氏物語でも数々登場する。茶道でも炉の時期に焚かれる
線香
細長い線状のお香の事。太い棒線香、細い京線香、渦巻状のものもある。火を付けて焚く。火を付けるだけで扱いやすく、香りも均一。燃焼も一定なので時計替りにも使われた
匂い線香:単品或いは様々な香原料や香料が調合さて、結着材(糊)に椨が使用された。紙縒りの様に手で作られたもの、押出機械で成形されたものがある
杉線香:杉の葉や枝を主原料にしたお線香。原料が国内で供給出来た為国産で製造されたお線香。近年は原料の杉材採集、粉砕加工する国内業者も少なくなり作られなくなってしまっている。水車で粉にした素朴な香りが再評価されている
竹線香(竹芯線香)
竹ひごを芯棒にして周りに椨粉や香原料ふりかけ重ねて層状にしたものや、練り付けたお線香で見た目は手に持つ花火の様。日本での使用は一部だが世界特に中国、東南アジア等の多くの国で使用されている
平御香(黒線香)
沖縄地方で使用されている縦溝が入っていて割る事が出来る板線香
印香
花型、幾何学型等板状のお香。火を付けて燃やすものと間接加熱で香りを発するものがある
火を付けて香りを楽しむお香
棒状(スティック状)、円錐状(コーン状)、渦巻状(コイル状)等があり、直接火を付けてくゆらして香りを楽しむ香
常温で香りを楽しむお香
香原料の刻み・粉を調合し、火を使用しないで香りを楽しむ香。匂い袋、掛け香、置き香、防虫香、文香等使い方も目的用途により様々ある
浴湯香
お風呂用の香。現代で云えば入浴剤。古くより中国から伝わっており、日本ではゆず湯、菖蒲湯などもある。ハーブや漢方薬を袋に入れたお風呂も見られるようになっている
躰身香
香りの強い香原料粉を調合して丸薬状に加工して服用する香。中国から伝わり平安時代の処方も残っている。香りを飲む事によって、体の中から佳香を発するようにした。現代でも香りの強いガムや口臭ケアの錠剤にその片鱗がうかがえる